こんにちは!訪問リハビリ理学療法士の蘆田です。

 

いきなりですが要介護認定率原因の1位はどんな病気だと思いますか?

なんと骨折や脳卒中ではなく認知症なんです!!

 

介護保険認定調査における丹波市がまとめた高齢者保健福祉計画によると、丹波市における要介護認定率は2020(令和2)年3月末現在で 20.3%と、国の 18.8%と比べると高い水準になっています。要介護認定になった主な原因について「認知症」が 29.0%と最も高く、「高齢による衰弱」が 25.7%、「骨折・転倒」が 24.8%、「脳卒中」が17.5%と続きます。

 

今回は、現代日本の深刻な問題である認知症について深く掘り下げていきたいと思います。また、追々認知症の方にも柔軟に対応出来それに特化した職種「作業療法士の実態」についてお伝えします。

それではさっそく内容に入っていきます。

 

1.認知症とは?

認知症は、脳の神経や血流に異常が出現し脳の機能障害が進行する病気です。具体的には「昨日のことが思い出せない」、「新しいことが覚えられない」、「人や時間、場所を正しく認識できない」、「料理ができない、お金の管理ができない」など、それまでは当たり前に出来ていたことが段々と出来なくなり、生活のなかで「困り事」が増えていきます。しかし、一度に全ての能力が失われるわけではありません。

 

 

 

2.認知症の種類

・アルツハイマー型認知症

認知症というと、アルツハイマー型認知症のイメージを持たれている方も多いでしょう。厚生労働省の発表によると、実際に、アルツハイマー型認知症は全体の67.6%と、3分の2以上を占めています。また女性に多くみられる認知症の型です。

アルツハイマー型認知症は、脳の中にアミロイドβというタンパク質がたまり脳の神経が変性することによって発症すると考えられています。しかしはっきりとした原因はまだわかっていません。

脳の一部が萎縮してしまう特徴を持っていて、物忘れに似た症状が出ます。症状が進行していくと今の日付が言えなくなったり自分がどこにいるのかわからなくなったりします。また、「物を盗まれた」といった物取られ妄想が出現したり徘徊するなどの症状が出るケースもあります。

 

・血管性認知症

全体の19.5%と、アルツハイマー型認知症に次いで多いのが血管性認知症です。高血圧や糖尿病のような生活習慣病を持っている方の発症リスクが高いとされています。また男性に多く見られます。

血管性認知症の原因は、脳梗塞や脳出血によって脳の血管に障害が起こると脳に十分な血液が行き渡らなくなり少しずつ血管が壊死することで出現します。

また、血管性認知症は脳のどこで脳梗塞や脳出血が起こったのかによって、それぞれ異なる症状が出ます。 意欲の低下や、脳梗塞・脳出血の症状に近い症状(言語障害・歩行障害・嚥下障害)が特徴的です。

「日によってできることとできないことが違う」「認知症のある症状は見られるが、別の症状は見られない」など、症状がまだらに生じる(まだら認知症)というのも特徴です。また、物忘れのほか、手足のしびれのような身体症状が出るケースもあります。

血管性認知症は生活管理で脳梗塞・脳出血を予防し、投薬とリハビリで症状の進行を遅らせることが可能とされています。特にリハビリが重要とされており、壊死した脳の機能の一部を他部分の脳がカバーするケースも報告されています。

 

・レビー小体型認知症

レビー小体と呼ばれる特殊なたんぱく質が原因となって発症するのが、レビー小体型認知症です。 レビー小体が、脳の大脳皮質(思考の中枢的な役割を持つ部位)や脳幹(呼吸や血液循環を担う部位)にある神経細胞内に溜まり、脳の神経が破壊されてしまうことで起こります。

アルツハイマー型認知症とは脳の神経を害するたんぱく質の種類が違うほか、レビー小体型認知症では現実にはないものが見える(幻視)、妄想、手足の震え・歩幅が小さくなるといったパーキンソン症状が目立ちます。

また、アルツハイマー型認知症と比較して、男性への発症が多いことも特徴です。アルツハイマー型認知症と同様に根本的な治療方法はまだありませんが、投薬により症状の進行を遅らせることができます。

 

・前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉、側頭葉の萎縮により、血流が阻害されることによって起こる認知症。全体の1.0%と、ほかの3種に比べると少ない割合です。

症状としては、感情がコントロールできない(感情失禁)、社会的な規範やマナーを守れない(万引きや無銭飲食など)、徘徊など、性格の変化や異常行動がみられることが特徴です。言葉がなかなか出てこなかったり、言い間違いが多くなったりと、物忘れと似た症状も出ます。

また、前頭側頭型認知症は、他の認知症とはことなり、指定難病に認定されています。 他の認知症と同様、根本的な治療方法はありませんが、投薬などによる対症療法をとるのが一般的です。

 

3.代表的な認知症の特徴

認知症全般でよくみられる症状としては、

  • 見当識障害(どこにいるのかなど自分が置かれた状況がわからなくなる)
  • 実行機能の障害(家事の手順などがわからなくなる)
  • 判断力の低下

下記に図にて各認知症の症状等を記載しています。

 

 

アルツハイマー型

認知症

脳血管性認知症

レビー小体型

認知症

前側頭型認知症

脳の変化

脳に異常なたんぱく質が溜まり、脳の神経細胞が変性、死滅して脳が委縮する

脳血管障害(脳梗塞、脳出血、脳卒中)によって脳の一部が壊死する

レビー小体という特殊なたんぱく質が脳の神経細胞に溜まり、死滅する

神経細胞内にピック球の蓄積などが起こり、前頭葉と頭頂葉が委縮する

主な脳の障害部位

頭頂葉

側頭葉

様々な部位

後頭葉

前頭葉

側頭葉

患者数

最も多い

アルツハイマー型認知症の次に多い

脳血管性認知症の次に多い

少ない

初期症状

物忘れ

物忘れ

幻視、妄想

うつ状態

パーキンソン症状

身だしなみに無頓着になる

同じ言葉や動作を繰り返す

特徴的な症状

認知機能障害

物取られ妄想

徘徊、見当識障害

認知機能がまだらに低下

手足のしびれ、麻痺

感情失禁

認知機能の変動

幻視、妄想

パーキンソン症状

睡眠時の異常行動

自発性の低下

感情鈍麻

人格変化

物を盗む

同じ場所を周遊する

経過

記憶障害から始まり、後半的な障害へ徐々に広がる。

脳卒中などの発作や、梗塞が起きるたびに認知機能が段階的に悪化する

調子がいい時と悪い時を繰り返しながら進行する

時に急速に進行することもある

進行はゆっくりで、年単位進行する

 

.まとめ

日本の65歳以上の高齢者で認知症の方は2020年の段階で約602万人に達しているとされています。これは65歳以上の人口の約6人に1人の割合です。

今後も増加すると予測され、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症を発症すると考えられています。

その後も、認知症の数は増加傾向が続くと予測されており、認知症はもはや他人ごとではありません。

認知症の方が住み慣れたご自宅で生活を続けていくには、医師、看護師、薬剤師、リハビリ専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)、管理栄養士、などの医療系の職種と保健士、社会福祉士、ケアマネジャー(介護支援専門員)、介護福祉士、ヘルパー(介護職員初任者研修および介護職員実務者研修修了者)などの多くの職種が協力し合いその方をサポートすることが必要であると考えます。

 

以上になります。

今回の内容についてご理解いただけましたでしょうか?

最後まで見てくださりありがとうございました。

 

下記リンクから訪問リハビリ開始までの一連の流れがご確認いただけます。

https://ashidamdcl-reha.com/