こんにちは!訪問リハビリ理学療法士の蘆田です!

 

前回、認知症についてご説明しましたが理解出来ましたでしょうか?

住み慣れた地域で、その人らしい生活を続けるためには認知症へのケアは必要不可欠なんですよ。

 

でもここで多くの疑問の声が挙がると思います。

 

そうはゆうけど認知症のケアって何をするの?リハビリなんて出来るの?どんなリハビリをするの?どの職種の人が行うの?こういう疑問の声が出ると思います。

実はリハビリ専門職の中には認知症の方にも柔軟に対応出来る職種があります。それはずばり作業療法士さんです。

 

今回は作業療法士さんにフォーカスを当て役割や仕事内容等を深く掘り下げてご説明します。

それでは本題に入っていきます。

 

 

 

作業療法士(さぎょうりょうほうし/英語: Occupational therapist/略称:OT

 

1.作業療法士の役割

作業療法士の主な仕事は、「患者様の日常生活動作(ADL)を想定した、具体的な動作を用いて機能回復(基本的動作能力)、そして、より応用的・実践的な動作を用いて能力の開発や手段の獲得(応用的動作能力)、心身への機能回復ならびに生活の実現(社会的適応能力)に努めること」です。

理学療法士との大きな違いは、精神領域のリハビリも担当する(精神障害系)という点です。

応用的・実践的動作の機能改善においては、より具体的な生活をイメージして「一人でトイレまで歩く」「介助なしで食事ができる」「ペンをもって簡単な文章を書く」「お風呂の浴槽を跨ぐ」といった病気やケガを患う前に出来た『日常生活活動(ADL)』を取り戻す。または、少しでも回復させるだけでなく人それぞれに応じた生活方法を習得するのが目的となります。

精神領域のリハビリにおいては、うつ病や統合失調症、パーソナリティー障害からの回復と共に日常生活を以前のように営み、再発しないよう援助を行います。

 

 2.作業療法の具体的な仕事内容

身体障害系作業療法士≫

まずは「身体障害系作業療法士」の分野では、よく取り上げられる応用的動作能力の一つとして、「入浴」を例に挙げて考えてみましょう。

自宅でお風呂に入るためには「服を脱ぐ」「浴室のドアをあけ、中に入りドアを閉める」「体を洗う」「浴槽をまたいで座る」「浴槽や浴室から出る」「服を着る」という様々な応用動作を伴います。

そこで作業療法士は、健康な時には特に気にしなかった一連の動作を一つ一つ紐解き、特に苦手な動作を中心にそれぞれの工程を想定(イメージ)した訓練を行っていきます。

「入浴する」という1つの日常生活活動における一連の動作を、それぞれの作業を分解し訓練することで、ほかの作業での動きにも応用できるようになり、次第にQOL(生活の質)が上がります。

このように、人の日常生活に関わるすべての諸活動の質を上げるために、様々な訓練を支援するのが作業療法士の仕事です。

 

 精神障害系作業療法士≫

次に「精神障害系作業療法士」の分野では、どんなことをするのでしょうか。

心の障害を持つ人は身体の障害よりも個人差がある事から、症状の出現状態や回復度合いの情報を得て、弾力的に段階を持たせた作業療法を提供します。

統合失調症やうつ病の患者様は、社会復帰に対し不安を持つ事が多く、その行動として自室にこもりがちになります。

そこで軽運動や手芸や園芸などの制作活動を通じて、体力を補強するとともに、少しずつ出来ることを増やしながら、他者と関わるときの不安を取り除きます。
即ち、日常の生活に支援が必要な方々にとって、社会とのつながりを「作業」を通じて作り上げます。

うつ病や発達障害などで一人暮らしが難しい患者様には、施錠・火元の管理や簡単な調理、入浴や余暇の利用方法などの具体的な生活活動についてトレーニングすることもあります。

 

3.作業療法の対象者

作業療法士は理学療法士よりも職務の範囲が多岐にわたります。当院では大きく分けて3つの分野があり身体機能分野、精神障害分野、高齢者分野です。

 

・身体機能障害分野

骨折などの整形疾患、脳梗塞などの脳血管疾患、脊髄の損傷などの神経疾患、パーキンソン病などからの急性期・回復期で生活習得を目指します。

 

・精神障害分野

統合失調症や躁うつ病、アルコール依存症やギャンブル依存症などからの復帰を目指します。

 

・高齢者分野

認知症には大きく分けてアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症の4種類あります。各認知症で出現する症状は異なります。認知症からの回復では豊かに生きる、生きがいを持つ事を目指します。

ここまでで作業療法士さんの職務や役割は理解されましたでしょうか?

ここからは認知症と作業療法について細かく見ていきます。

 

 

認知症と作業療法について

「作業療法」は、家事や買い物、手芸・園芸など日常的な様々な動作を含んだ「作業」を通して、心と体のリハビリテーションを実施します。通常の機能回復を目指すリハビリとは違い、認知症における「作業療法」を用いたリハビリは、認知症の進行を遅らせるための予防的処置を主な目的としています。
「認知症施策推進総合戦略」では、「認知症の人に対するリハビリテーションについては、実際に生活する場面を念頭に置きつつ、有する認知機能等の能力をしっかりと見極め、これを最大限に活かしながら、ADL(食事、排泄等)や IADL(掃除、趣味活動、社会参加等)の日常の生活を自立し継続できるよう推進する」と明記されていますので、作業療法の観点からの認知症リハビリの取り組みは、非常に注目されていると言えます。

 

作業療法を使った認知症のリハビリとは

認知症を患った方は、今まで自分が「できていたこと」ができなくなってしまったことに、不安と悲しみを抱いています。リハビリテーションといった形で、指示を受けて「訓練」するにしても、手順が覚えられずに混乱したり、「指示されている」ことに拒否感や怒りが生まれてしまっては意味がありません。「作業療法」は、日常生活の中で自立して行えることや、今まで得意だったことや好きでやっていたことなどを、対象となる方の性格や今までの人生の背景を理解した上で取り入れていきます。

 

具体的に作業療法で行うこと

上述したように、作業療法士は対象となる方の生活史を重視します。その人の得意としている作業や興味を持っていることを引き出すだけでなく、昔を思い出すことで自分に自信を取り戻すことや、心が安定して信頼関係を生むことにも一役買っています。
たとえば毎日地道に家事に従事されていた方には、洗濯物を畳んだり掃除を行うなどといったことも認知症のリハビリテーションです。社交的な方であれば、歌やおしゃべり会などの催しの開催、黙々と作業をする方であれば、折り紙や塗り絵といったことを行います。認知症を患った方に多くの成功体験を得てもらい、喜びや達成感を味わってもらうことで症状が改善した例も多くあるそうです。
この際、決して無理をさせてはいけません。指示をする場合も、目的や方法も含めて極力シンプルかつ明確にすることが大切です。

 

作業療法士の強みは、認知症という病気だけでなく、認知症の方の個性やその人らしさ、そして、認知症の方を取り巻く環境も考慮したうえで、認知症の方をサポート出来ることです。認知症の方の「出来ないことではなく出来ること」に注目し、その力を最大限に引き出すことを大切にし、その方が、住み慣れた地域で暮らしていけるよう、生活のなかの「困り事」を少しでも解決することを目指して支援しています。

 

 

当院の長尾OTは認知症分野を得意としており認知症のケアや介護疲れによるご家族様のケアも手厚くサポートすることが出来ます。是非当院訪問リハビリにお任せください。

 

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TEL 080-7308-1499(代表 長澤)